クローズアップ2014:埼玉県ずさん集計 原発避難把握、丸投げ 片山・元総務相に聞く
毎日新聞 2014年08月04日 東京朝刊
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◇改めず怠慢
避難者数が定まらない現状をどう考えるか。震災発生当時の総務相で、全国避難者情報システムの構築と原発避難者特例法の制定を主導した片山善博・慶応大学教授に聞いた。
−−避難者数を把握しなければならない理由は。
◆一人一人がどうなっているか把握しないと適切な対策が打てない。そのためにこのシステムを作った。
−−実態との乖離が早い段階から指摘されている。
◆予想していた。急場しのぎで作ったシステムなので、状況に合わせて改良する必要があるのは分かっていた。しかし3年たっても何もしていない。これは明らかな怠慢だろう。
−−特例法の対象地域を13市町村にした理由は。
◆対象地域外の自主避難者を排除するつもりはなかった。法律の付則には状況に合わせて柔軟に対応する規定もある。
−−当時の国会で「システムを精査すれば正確に避難者の数を把握できると思っている」と発言している。
◆しなければいけないことだ。システムに加えて、特例法の手続きで情報が寄せられる。これらを精査していき、不具合があれば改良する。避難者を見つけやすくするのが目的だ。
−−避難者の定義や集計方法が決まっていない。
◆当時はきっちり決めると排除される人が出るから、広く取ろうというのが暗黙の了解だった。その後、排除するのでなく、困っている人を取り込む形で精度を上げる作業をしていくべきだったが、何もしていない。